Q1.アルコール依存症とアルコール中毒はどう違いますか?
アルコール依存症はかつて(慢性)アルコール中毒と呼ばれていました。しかし、急性アルコール中毒という場合はアルコール依存症とは異なります。
Q2.自分でお酒が止められればアルコール依存症ではない
ですか?
止めることはできても長く止め続けられないのがアルコール依存症の特徴です。アルコール依存症の診断項目を満たせばアルコール依存症です。
Q3.肝機能検査の結果が悪くなければアルコール依存症ではないですか?
そのことでアルコール依存症の可能性が排除されるわけではなく、アルコール依存症の診断項目を満たせばアルコール依存症です。
Q4.土日以外は晩酌しかやりません。この場合はアルコール依存症ではないですか?
前項と同じで、そのことでアルコール依存症の可能性が排除されるわけではなく、アルコール依存症の診断項目を満たせばアルコール依存症です。
Q5.手が震えたりはしません。この場合はアルコール依存症ではないですか?
手の震えが目立たない場合もあります。アルコール依存症の診断は他の症状も考慮した総合的な判断が必要です。
Q6.お酒を止めて1年経ちました。少しなら飲んでも大丈夫ですか?
長く止めたから、少しなら、アルコール分がわずかだからなどと考えて飲むテスト飲酒は、何年止めていても再発に結びつきます。
Q7.自分の意志で止めるからと受診を拒みます。意志に任せていいですか?
よくある言い分ですが、結果は明らかです。受診が直ぐには無理のようなら、まず家族が相談の窓口を訪ね受診のための計画を立てましょう。
Q8.止めると何回約束しても守れません。離婚した方がいいですか?
決意や意志だけでは無理ですから約束しても意味はありません。きちんとした治療を受けるための計画を立ててください。
Q9.お酒は止めるつもりでいます。ノンアルコールビールなら飲んでも構いませんか?
微量でもアルコール分が含まれていれば避ける必要があります。完全にアルコール分がなければビール飲料にこだわる必要はありません。できるだけ創造的な趣味や楽しみを持ちましょう。
Q10.今度飲んだら離婚するという約束をさせました。今度は大丈夫ですか?
単なる脅しであれば逆効果になる場合もあります。飲まないで質の高い回復生活を送る意欲をその人の内部から引き出すという考え方でのかかわりが基本になります。
Q11.やっと入院してもらいました。治療は病院にお任せでいいでしょうか?
治療は原則的に家族も含めた治療が必要です。家族治療に参加してください。
Q12.受診を説得していますが、どうしても嫌だと頑張っています。どうしたらいい
でしょうか?
最初は受診を拒むのが一般的です。しかし、現状を好ましいと思っておらず、何とかしたいという気持ちも潜在しています。受診に向けた取り組みを続けてください。
Q13.一日中酒浸りの生活です。酒が好きなら放っておけばいいでしょうか?
アルコール依存症の可能性が高い状態です。受診に向けた取り組みをしてください。
Q14.入院して1週間経ちますが、毎日のように退院したいので迎えに来てほしいと電話
が来ます。本人の言う通りに退院させた方がいいでしょうか?
まだ精神状態が不安定な時期で、形を変えた飲酒渇望の表現だと考えられます。治療に関係することは必ず主治医や治療スタッフと協議して決定してください。
Q15. 一生お酒は口にしないと言って欲しいのですが、曖昧なことしか言いません。
そんな考えで大丈夫なのでしょうか?
毎日の困難を乗り越えて、一日一日アルコールなしで質の高い生活を送ることが必要です。あまりに長い先のことに対する言葉にとらわれる必要はありません。
Q16. アルコール以外にタバコも止めた方がいいでしょうか?
アルコールを止めていても喫煙している場合は不完全回復と言われることもあります。喫煙もニコチン依存症という病気ですから決意だけでは簡単に禁煙はできません。禁煙するにはアルコールの場合とは別の治療を受ける必要があります。
Q17.家族もアルコールは飲まないようにした方がいいのでしょうか?
家庭でのアルコールに対する意識は飲まないための重要な要素です。それができればそれに越したことはありません。できない場合は家族自身にアルコール問題を抱えている可能性があります。
Q18. 断酒会やAAには出席したくないと言っています。出なくてもアルコールは止めら
れるのですか?
出席をしたくないという理由はいろいろ考えられます。理由によって対処法が異なります。雰囲気が嫌だという場合は、例会やミーティングも会場ごとに違いま す。他の場所に出席すると違うかもしれません。また、アルコール依存症であることの否認からくる可能性もあります。その場合は自助グループへ参加を勧める のは時期尚早なのかもしれません。
Q19.外泊中に飲んでしまいました。もう治らないのでしょうか?
外泊は普段の生活環境に戻り、アルコールなしで生活を行うトレーニングです。特に最初や退院前の外泊では飲酒してしまうことがありますが、その時の状況や引き金になった出来事を振り返り、繰り返さないように計画を立てることが必要です。長い回復途上の一つのエピソードを悲観的に考える必要はありません。
Q20.退院したら完全にお酒を止められそうなので通院する必要はないでしょうか?
アルコール依存症は慢性疾患ですから、通常は長期に通院する必要があります。当院では3年以上の通院が必要だと考えています。